「障害者です」と言われた日


退院が近づいた頃だったと思います。

病室に病院の職員の方が来ました。

退院後の生活や利用できる制度について説明してくれる担当の方でした。


その方から、こんな説明を受けました。

「人工弁に置換されていますので、障害者手帳の対象になります。」

そんな内容だったと思います。

正直、詳しい説明はあまり覚えていません。

でも、その言葉だけは印象に残っています。


障害者。

その言葉に少し戸惑いました。

病気になったことは受け入れていました。

大きな手術をしたことも理解していました。

でも、自分が障害者手帳を持つことになるとは考えたこともありませんでした。


もちろん、その方が間違ったことを言っているとは思いません。

制度の説明をしてくれているだけです。

それでも、

「まさか自分が障害者手帳を持つことになるのか。」

という気持ちはありました。


退院後、区役所へ行って手続きを行いました。

今となっては何度も利用することになる制度ですが、その頃の私は何も分かっていませんでした。

言われるままに手続きを進めたというのが正直なところです。


しばらくして、障害者手帳を受け取りました。

手帳を受け取ったからといって、何かが変わるわけではありません。

体調が良くなるわけでもありません。

昨日まで出来なかったことが出来るようになるわけでもありません。


それでも、その手帳には不思議な重みがありました。

それは紙の重さではありません。

病気になったという事実とは別に、

「まさか自分が障害者手帳を持つ立場になるなんて。」

そんな気持ちがあったからだと思います。


今振り返ると、この頃の私はまだ受け入れ切れていませんでした。

ヘルプマークを出すことにも抵抗がありました。

見た目は普通に見えるのに、本当に自分が障害者なのだろうか。

そんな気持ちがどこかにあったのです。


でも、その後の人生で私は何度もこの手帳に助けられることになります。

そして、そのたびに思うのです。

あの日の私は、まだ何も分かっていなかったのだと。

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