プレゼンの結果、犬を飼う方向で話が進み始めました。
とはいえ、
まだ犬種は決まっていませんでした。
当時、私が気になっていたのはビションフリーゼでした。
見た目もかわいい。
性格も良さそう。
初心者でも飼いやすい。
実際に見学へ行った時も、
ビションフリーゼを見るつもりでした。
でも、その場所には他の犬たちもいました。
その中にキャバリアもいました。
何匹か抱っこさせてもらいました。
みんなかわいかったと思います。
でも、一匹だけ様子が違いました。
しっぽをものすごい勢いで振るのです。
そして妻の顔を、
一心不乱になめ始めました。
それはもう、
営業活動と言ってもいいくらいでした。
抱っこされている間、
ずっとしっぽを振っています。
ずっと顔をなめています。
私も娘も笑っていました。
でも一番変化していたのは妻でした。
それまで一番慎重だった人です。
犬を飼うことに最後まで反対していた人です。
その妻の表情が、
どんどん変わっていくのが分かりました。
そして気付けば、
一番その子を気に入っていたのも妻でした。
今思うと不思議です。
犬を飼うことを決断したのも妻。
そして、その子に一目惚れしたのも妻でした。
あの日、
あの子は自分の家族を選んだのかもしれません。
少なくとも私はそう思っています。
なぜなら、
あの日の妻は完全に落ちていたからです。

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