大動脈解離の手術を受けて退院した後、ニトリの電動リクライニングソファを購入しました。
見た目やくつろぎやすさだけで選んだ家具ではありません。
当時の私にとって、ソファから立ち上がること自体が大変だったからです。
手術では、胸を大きく開きました。
退院できたからといって、すぐに以前と同じように動けるわけではありません。
体力は大きく落ちていました。
立ち上がる時には、腕や胸、腹部にも力が入ります。
普通なら何でもない動作でも、当時の私には負担でした。
退院した当時、病院を出れば元の生活に戻れると思っていた時のことは、「退院したら、元の生活に戻れると思っていた」に書いています。
自宅にはソファがありました。
座ることはできます。
問題は、そこから立ち上がる時でした。
深く腰掛けると、体を前へ起こさなければなりません。
そこから脚に力を入れて立ち上がります。
弱っている時には、その一連の動作が思っていた以上に大変でした。
かといって、一日中ベッドで過ごしたいわけでもありませんでした。
退院して自宅へ戻ったのに、ずっと寝室にいる。
それでは、まだ入院生活が続いているように感じます。
家族のいるリビングで過ごしたい。
テレビを見たり、会話をしたりしながら、少しずつ日常へ戻りたい。
そのためには、体を楽に預けられて、起き上がる時の負担も減らせる場所が必要でした。
そこで選んだのが、電動リクライニングソファでした。
ボタンを押すと、背もたれや足元の角度を変えられます。
体を完全に横にしなくても、上半身を預けた姿勢で休めます。
疲れた時には倒す。
立ち上がる前には角度を戻す。
自分で体を大きく動かさなくても、姿勢を変えられることが助けになりました。
電動であることは、単に楽をするための機能ではありませんでした。
当時は、姿勢を変えるために体へ力を入れること自体が負担でした。
普通のソファでは、深く倒した姿勢から上半身を起こすために、自分の腹筋や腕を使わなければなりません。
電動式なら、ボタンで背もたれや足元を戻し、立ち上がりやすい姿勢まで体を起こすことができました。
それだけで、立ち上がるまでの負担が少し軽くなりました。
購入したのは、ニトリの電動リクライニングソファです。
ただし、この記事を書いている現在、当時と同じ商品が販売されているかは確認できていません。
同じメーカーの電動ソファであっても、座面の高さや硬さ、動く範囲は商品によって違います。
そのため、私が使った商品をそのまま誰にでも勧められるとは思っていません。
退院後に使うことを考えるなら、私が重要だと思うのは、電動かどうかだけではありません。
座面が低すぎないこと。
深く沈み込みすぎないこと。
足を床につけやすいこと。
立ち上がる前に、体を起こしやすい角度まで戻せること。
これらは、実際に座ってみなければ分かりにくい部分です。
電動ソファには、当然ながら不便な点もあります。
普通のソファより大きくなりやすく、設置する場所を取ります。
リクライニングさせるために、壁との間にも余裕が必要です。
電源も必要です。
体の状態によっては、電動で動くことよりも、座面の高さや肘掛けの位置の方が重要な場合もあると思います。
また、電動ソファは医療機器ではありません。
どの姿勢が体に適しているかは、手術の内容や回復状況によって違います。
胸の手術後だから、全員が電動ソファを買うべきだという話ではありません。
私の場合は、退院後の生活の中で困っていた動作を、少し助けてくれた家具でした。
病気になる前なら、ソファを選ぶ基準は、座り心地やデザインだったと思います。
けれど、手術後は違いました。
自分で立ち上がれるか。
長く座っていて苦しくないか。
疲れた時に、体を預けられるか。
家具を選ぶ基準まで、病気によって変わりました。
そして今では、私より家族の方がよく使っています。
リクライニングさせて座ると楽だと言い、いつの間にか家族のお気に入りの場所になりました。
もともとは、手術後の私が少しでも楽に過ごすために買ったソファです。
それが今では、家族みんなが普通にくつろぐ家具になっています。
退院は、元の生活に戻る日ではありませんでした。
病院から自宅へ、回復する場所が変わっただけです。
自宅で過ごすためには、以前なら必要だと思わなかった助けが必要でした。
私にとって、その一つが電動リクライニングソファでした。
大げさなリハビリ用品ではありません。
ただ、家族のいるリビングで過ごし、自分の力で立ち上がるために、役立ってくれた家具です。
急性大動脈解離で倒れてから緊急手術を受け、退院するまでの経過は、「急性大動脈解離で緊急手術を受けてから退院するまで|50歳の体験記」にまとめています。


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