そして、ついにその日がやって来ました。
新しい家族を迎える日です。
今でもよく覚えています。
犬を飼うことは決まっていました。
でも実際に家へ来るまでは、どこか現実感がありませんでした。
本当に犬を飼うのか。
本当に自分たちが世話をするのか。
そんな気持ちも少しありました。
ところが、家へ来たその日は私たちが想像していたようなスタートではありませんでした。
その子はクレートから出てこなかったのです。
ご飯をあげても出てこない。
声を掛けても出てこない。
無理もありません。
それまで過ごしていた場所から突然知らない家へ連れて来られたのです。
不安だったのでしょう。
だから私たちも無理には出しませんでした。
まずは落ち着いてもらおう。
そう思って様子を見ることにしました。
ところが翌朝です。
クレートの中でうんちをしていました。
さすがにそのままというわけにはいきません。
初めて外へ出し、
クレートを掃除しました。
今思えば、
本当の意味で家族になり始めたのは、その時だったのかもしれません。
そこから少しずつでした。
少しずつ外へ出るようになり、
少しずつ家の中を歩くようになりました。
最初の数日はサークルの中が生活の中心だったと思います。
私たちも、
その子も、
お互いに様子を見ていたような気がします。
病気になってからの私は、
先のことをあまり考えなくなっていました。
来月のこと。
一年後のこと。
将来のこと。
正直、それどころではありませんでした。
でも犬を迎えるということは違います。
来月もいる。
一年後もいる。
何年も一緒に暮らす。
自然と未来のことを考えるようになります。
当時の私は気付いていませんでした。
この小さな家族が、
これから先の私の人生をどれだけ支えてくれる存在になるのか。
ただその頃は、
少しずつサークルから出てくるようになった姿を見て、
家族みんなで喜んでいただけでした。

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